初夏

残された犬たち

さて、同居犬に先立たれた犬がどうなるか、多頭飼育をされている人は気になることでしょう。犬によって性格はさまざまだと思うけど、S石家ケースを報告しましょう。

まずタビィ。
親子とはいえ、今までそんな血縁らしき絆はまったく感じられませんでした。同じ家にすむ仲間意識、群れ意識はありましたが、わが家内ではメス同士のいざこざはあれど、親子の遠慮とか愛情による親密感なんて微塵もないヤツらだった。
でも、パチが死んだ朝、いちばんタビィが挙動不審だった。“パチはどこよ。あいつだけ、どっか散歩でも行ったの?”と言わんばかりに寝室、ベッドの下、お風呂場、玄関をうろうろして1階を探し回っていました。亡きがらのにおいを何度か嗅ぐんだけど、どうも遺体はすでにパチであってパチのにおいではないらしい。“うーん、なんか違う。そんでだからパチはどこ行った?”と探す……そういう行動に見えました。そのうろうろぶりを見ていると、最後になって、もしや親子の自覚があったのか、と推察したくなりました。本当のところはまだ科学的には誰も証明していないと思いますが。
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そしてこれも考え過ぎかもしれないけど、どーもこの1週間、タビィも元気がない、おとなしい感じがします。ただ単に蒸し暑くてだれてただけかもしれないけど、本心は人間にはわからない。
そしておとといくらいから、なにやらまめちゃんにやつあたりしてます。以前からたまに、目の前を走ったまめちゃんに反応して、パッと甘噛みしようとする習性はあったけど、毎日、しかも1日2回くらいというのは回数が多すぎる。もしかしたらパチのいないストレスというか不安感でイライラしているようにも見える。まめちゃんはいい迷惑だけどね(笑)。

バドは、以前、猫のたねちゃんが死んだときもそうだったけど、遺体のにおいは1回確認したら、すぐに部屋からすーっと退室する。まるで死んだことが、1回においを嗅ぐだけで理解できるみたい。そして何度もにおいは嗅ぎたがらない。“わかりました。ぼくはすぐに、おいとまします”という情けない顔をする。一応、翌朝も、パチの亡きがらがあった場所を散歩前にチェックに来た。それ以来はもうにおいも嗅ぎにこない。
そして、今までどおりよく寝ている。
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もしかしたら内心は落ち込んでいるのかもしれないが、じいちゃんだからただよく寝ているようにも見える。これまた飼い主には、犬の本音は判別できない。

ついでに猫のまめちゃん。パチが死んだとき、数十分も、じーっと遺体をまっすぐ見ていた。あいつの脳みそで「死」が理解できるとはあまり思えないが(笑)、明らかに観察している感じだった。そしてその日の朝だけは、いつもなら「ごはーん、ごあーーーん」とうるさく催促するまめちゃんが鳴かなかった。いちばんパチの死を感じている素振りをわかりやすく態度に表したのがまめちゃんだったわけで、実に興味深い。うちの猫は、やはり猫のくせに群れ意識があるのか。それとも犬より猫の方が死に敏感なのか。まめが特別なのか。
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それ以降は別段いつもどおりだけど、今は、私の下、パソコン机の下で寝ている。ここはパチの定位置だった場所だ。うーん、まめちゃん、頭を使っているのかいないのか謎だ。


ともあれ。
まめちゃんは脱走しなければまだ大丈夫だと思うけど、バドとタビィは今年の秋で13歳。
実は、書くのが遅くなったが、私の大事な古くからのコーギー友達のコーギーが、なんとパチと同じ日の夕方に亡くなった。13歳になったばかりで、ほぼ老衰に近い状態だったようだ。ガイアが一緒にお空に上ってくれたのは、パチも心強いと思うけど……よりにもよって同じ日とは。驚いたし、悲しいし、運命を感じる。
と、同時に、やっぱりコーギーの寿命はだいたい13歳なのか、と思い知らされた。

バドもタビィも、もうじき13歳なのだ。
ふたたび年内中に、火葬のおじちゃんに会うことになったらどうしよう。本当に想像するだけで、壊れそう。
「ほんと、私、立て続けにそうなったら、壊れる自信がある」と、オットに断言したら、苦笑いされた。たぶん彼も同じなんだろう。

パチやタビィがガンになる前から、もううちで3頭の犬を飼う黄金時代は、もう今だけだろうねってオットとたまに話をしてた。私も年をとるから運動を満足にさせるためにも頭数は増やせないなと思うし、また犬が病気になったときに足の悪いパチを1頭抱っこするだけでけっこう手がいっぱいになったから、1人1頭にしておくべきかなと。私はきっとまた大型犬と暮らすだろうから、なおさらだ。うちは3人家族だけど、もしもの地震などの災害時はマチュがまめちゃん担当だし。

それにバドは最強のママっ子なので、私が新しい子犬を迎えたら、どんな分離不安になるか。バドにそんな思いはさせたくない。だから、バドが他界するまで、わが家に子犬がくることはありえないと思っていた。


……だけどね、パチの不在、および残っているのが老犬2頭っていうのは、もう不安でいっぱいです。死別は、つらいもんです(当たり前)。それに、わが家でいちばん若い犬が先に逝くとは想定外で。生き物だからなぁ、しょうがないけど、でもなぁ。パッちゃんのせいじゃないけどなぁ。

という不安から、タビィはともかく、バドは女こどもにはやたら優しく我慢強く、面倒見がいいので、バドがいるうちに子犬が来た方が、子犬にとっても、もしかするとバドにとってもプラス面が多いのかもしれないな。なんて都合よく考え始めちゃったりしてます。(しかーし! わが家の前に、リボンをつけたワイマラナーやジャーマン・ポインターの子犬を置いて、ピンポンダッシュで逃げないように! 爆)

はぁ〜。まだ先のことはわかんないけどね。
でも、バドの足腰のヨロヨロぶりを見ていると、正直不安で不安で。
さらに日曜日の夜中、タビィがケージの中で眼を半分開けたまま、カチャカチャ足を動かし始め、呼んでも体を触っても反応ないから、まさか痙攣かと思って、オットと一瞬真っ青になった。ケージから引きずり出したら“何すんねん”と生き返った。ただ爆睡してただけみたい。ドッグランの夢でも見たのか。白目むいて寝るなっ。ほんと人騒がせなヤツじゃ。でもパチの最期の記憶がまだ鮮明だから、本気で焦りましたよ。

でも、幸いなことにですよ。この12歳半のバドとタビィは、いま何の薬も飲んでいない健康体。今までタビィのガン→パチのガンと3/4年以上、朝晩ごはんのときにたくさん投薬していた習慣のせいで「あれ、君たち、薬はひとつもないんだっけ?」と毎回思ってしまう(笑)。じーちゃん、ばーちゃんだけど、このままできるだけ長く達者で過ごしてほしいものです。
by 白石バドバド花絵  at 00:15 |  犬遊び |  comment (7)  |  trackback (0)  |  page top ↑
プロフィール

白石バドバド花絵

Author:白石バドバド花絵
犬歴21年、猫歴19年の雑文家。犬2頭、猫1匹がごろごろ爆睡しているとなりで、日々、犬原稿を執筆中。
《(c)kae Shiraishi/文章や画像の無断転載はお断りします》

『東京犬散歩ガイド』
白石花絵著
(オーシャンライフ発行)
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『最新犬種図鑑』 
監修:ジャパンケネルクラブ
構成・文:白石花絵
(インターズー発行)
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